介護施設のレクリエーション担当者の皆さん、日々のお仕事お疲れ様です。
リハビリや脳トレに良いとされる塗り絵ですが、
- 「最近、塗り絵をやろうとしない」
- 「集中力が続かずに途中でやめてしまう」
- 「線から大きくはみ出してしまう」
といったお悩みを抱えていませんか?
塗り絵ができない姿を見て、どう対応すれば良いか分からないと悩んでいる方も多いのではないでしょうか。
この記事では、
- 認知症の方が塗り絵を「できない」と感じてしまう理由
- その際の具体的な対応策
について詳しく紹介します。
無理に塗り絵を続ける必要はありません。
- その人の状態や気持ちに合わせた方法
- 他のレクリエーションに切り替えること
も大切です。
この記事を通じて、利用者の方々が心から楽しみ、笑顔になれるような活動を見つけるお手伝いができれば幸いです。
塗り絵ができない理由と工夫
塗り絵は脳トレやリハビリに良いと言われますが、認知症の症状によって、塗り絵が難しくなってしまうことがあります。
その理由と、塗り絵を続けるための工夫を見ていきましょう。
認知症にはできないこと
認知症の症状として、これまで当たり前にできていたことができなくなることがあります。
塗り絵ができないと感じる理由は、以下のようなものが考えられます。
- 視覚認知機能の低下: 物の形や空間を正確に認識する力が低下し、絵の輪郭や線が見えにくくなってしまいます。そのため、線から大きくはみ出してしまうことが多くなります。
- 集中力・持続力の低下: 長い時間一つの作業に集中するのが難しくなり、何をしていたのか忘れてしまうことがあります。
- 意欲の低下: うまくできない自分を見て自信をなくし、活動そのものに意欲が湧かなくなることがあります。
- 手の機能の低下: 手を細かく動かすことが難しくなり、色鉛筆をうまく持てなくなってしまいます。
このように、塗り絵ができないのは本人の怠慢ではなく、認知症の症状が影響していることがほとんどです。

認知症向け塗り絵の工夫
「塗り絵ができない」という悩みには、工夫することで対応できる場合があります。
利用者の方に塗り絵を楽しんでもらうための良い方法を紹介します。
- 道具の工夫: 鉛筆や色鉛筆ではなく、太いマジックペンやクレヨンを使うと、弱い力でも色を塗ることができ、手を動かしやすくなります。
- シートの工夫: 細かい線が多くて複雑な絵柄だと、利用者が混乱してしまいます。シンプルで太い線の絵柄や、輪郭がはっきりしている塗り絵シートを選びましょう。塗りつぶすだけの塗り絵や、あらかじめいくつかの色が塗ってある部分的な塗り絵も良いでしょう。
- 声かけの工夫: 「上手に塗れていますね」「この色は綺麗ですね」と具体的に褒めることで、利用者のやる気を引き出すことができます。また、「何色を使いますか?」と質問を投げかけたり、職員も一緒に塗り絵を楽しむことで、安心感を与えられます。


塗り絵の代わりになる活動
塗り絵が難しい場合でも、楽しめる活動はたくさんあります。
無理に塗り絵を続けようとせず、利用者の心と体に合せて、他のレクリエーションを始めてみましょう。
認知症向け塗り絵の代わり
塗り絵の代わりとして効果が期待できる活動を紹介します。
これらは手を動かしたり、脳を使いながら楽しめる活動です。
- 折り紙: 鶴や手裏剣など、簡単な折り紙は、指先の運動になり、脳に良い刺激を与えます。色の種類も多く、視覚を楽しませる効果もあります。
- 貼り絵: 色紙をちぎって台紙に貼ったり、季節の写真やイラストに色紙を貼り付けたりする活動です。細かい作業が苦手でもできますし、完成した作品は達成感を与えてくれます。
- 粘土や紙粘土: 粘土遊びは、手を動かす感覚そのものを楽しむことができます。決まった形を作る必要はなく、自由にこねたり丸めたりする活動だけでも良いでしょう。
- 体操: 「指先体操」や「リズム体操」など、簡単な体操は、体を動かしながら脳も使うため認知機能の維持に役立ちます。


認知症向けレクリエーション【簡単】
認知症の方には、簡単で楽しめるレクリエーションが非常に有効です。塗り絵に固執せず、多くの選択肢を用意してあげましょう。
- 昔の歌を歌う: 昔流行した歌は、記憶を呼び起こし、懐かしい気持ちにさせてくれます。歌詞を見ながら歌うことは脳トレにもなります。
- 思い出話: 昔の生活や仕事、家族についての話を聞くことは、利用者の自尊心を高め、深いコミュニケーションに繋がります。
- クイズや連想ゲーム: 簡単な3択クイズや、連想ゲームは、頭の体操になります。答えが分からなくても選択肢があるため、楽しんで参加できます。山口県の介護施設では、地元の映像を使ったクイズ動画のサービスもあります。地元の風景を見ながらクイズに挑戦することで、記憶の引き出しを開けるきっかけにもなります。
介護施設のレク担当者必見!高齢者が喜ぶ3択クイズのおすすめ問題集


高齢者向けレクリエーション【脳トレ】
認知症の有無に関わらず、高齢者のレクリエーションは脳トレの要素を取り入れることが大切です。
無理なく楽しく続けられる活動を紹介します。
- 間違い探し: 2つの似ている絵の中から間違いを見つけるゲームです。集中力と観察力を高めることができます。
- 読み聞かせ: 職員が本を読み聞かせることで、聴覚から情報を得て、想像力を働かせる良い機会となります。
- 園芸: 土や植物に触れることは、五感を刺激し、精神を安定させる効果があります。
これらの活動は、利用者の好奇心を刺激し、日々の生活に楽しみを与えます。


よくある質問
ここでは、塗り絵のリハビリや認知症ケアに関連するよくある質問にお答えします。
Q1. 塗り絵を全く受け入れてもらえません。どうすれば良いですか?
無理強いは絶対にしないでください。
塗り絵を拒否される時は、認知症の症状として
- 「何をしていいかわからない」
- 「自分ができないことを見せたくない」
という気持ちが隠されているかもしれません。
その時は「今日はやめておきましょうか」と一度引き、他の活動を提案してみましょう。

Q2. 認知症についてもっと専門的な情報を得たいのですが。
認知症の症状やケアの方法については、厚生労働省などの公的機関や、専門の医療機関が多くの情報を提供しています。
記事内では多くを紹介できませんが、以下のようなサイトも参考になるでしょう。
- 厚生労働省 認知症関連情報 (https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/hukushi_kaigo/kaigo_koureisha/ninchi/index.html)
塗り絵以外の選択肢でもっと楽しく
塗り絵は認知症の方に良い活動ですが、すべての方が楽しめるわけではありません。
塗り絵ができない時は、その理由を理解し、無理なく楽しめる工夫や、他の活動を提案することが大切です。
今回紹介した
- 折り紙
- 体操
- クイズ
などを参考に、利用者の笑顔と楽しむ気持ちを最優先したレクリエーションを行いましょう。
コメント